素晴らしい文学作品

文学作品というのは実に素晴らしい。
移動中にすぐに読めるミステリーなどの娯楽小説も大好きだが、文学作品にはそこにしかない格調高い香りがあってことさら好きだ。

基本的に人間の本質を切り取っているものなのに美しい。
恋愛についての描写もやたらとどろどろしているというか、醜悪な歪んだ感情をそのまま文字におこしているのに、下品にならないから不思議だ。
耽美小説というものがある。
よく授業なんかでは、内容よりも美しい形式や表現を追及する文学、なんていう風に習ったりするが、確かにその美的感覚にははっとする。
内容より、という表現はいささか穏やかではないが、とにかく日本的な美しさは目をみはるものがある。
私が耽美小説の父と仰いでいる人がいる。
もちろん実際にそのような人だけれど。
ある評論のような随筆の中で、羊羹のことをこの世のものとは思えないほど美しく表現していた人。
その人の描く恋愛感というものは、何だか自滅していくような儚さがある。
女性はかくあるべきという規定のようなものがはっきりしていた時代の中に、放埓な女性を描いていたり、きっと当時表に出ることはなかったであろう性癖というものがクローズアップされていたり。
とりあえず決して一言で幸せと言えない、翳のある終わり方をする以外にないような。
時代という枠がきつかった時代でも、人間というものがそんなに美しくなれないのだということを、美しい表現で描いている。
それでいて読み終わった後には、やっぱり人生は美しいものなんだ、と思わされる。

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