繊細な人がいるということ

この世には繊細な人がいる。
何かきついことを言われるとすぐに落ち込んでしまう人。
そういう人と付き合う自信がない。
繊細な人というのは、大抵いろいろな物事に対して敏感で細やかな人だ。
だからそれを掬い上げて上げられるくらい、自分も細やかでないとだめなのだ。

私は細やかさとはまるで無縁だ。
とても残念なことだが、おそらくは大雑把という人種に分類されるであろう。
部屋もきれいとはいえない。
かばんの中もしかり。
それに、困ったことに面倒くさがりである。
そんな女が、昔繊細な男と付き合ってしまったことがある。
当時から私は感覚が割と鈍かったし、多分恋愛感情が人よりも少ない。
だから、基本的に2週間に一回会えれば十分だし、デートらしいところにもあまり行かなかった。
連絡も結構業務的かつ義務感覚になってしまう。
彼は甘えることに抵抗がないし、甘えてきて欲しいと思っていたのだと思う。
それに、きっと毎週とか頻繁に会うのが恋人だと思っていたところがある。
部屋も潔癖なほどにきれい。
キッチン周りもこだわりがあるらしく、邪魔だからとキッチンを追い出されたこともある。
そして、喧嘩をするとまあ大抵私が言いくるめられるのだが、それでいて随分自己嫌悪に陥っていたそうだ。
だったら言わなきゃいいのに、と今でも思うが、それは私が悪いのだろう。
そんな彼だが、随分言わないで溜め込んでいたことがあるようだ。
私は確かに付き合っている間努力が足りなかった、と、最後にまとめて言われた。
確かにそうだったかもしれない。
彼がそう考えていたことも、そのときまで一ミリも気が付かなかったからだ。
けれどそれ以来、大雑把は直っていないが、繊細な人がいるということには留意している。
少しでも汲み取れるよう、心を砕いているつもりだ。
そして彼には申し訳なかったと、思ってはいる。

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